2020年8月5日(水)、三菱地所が運営するEGG JAPANのビジネスコミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」が共同開催する「Founders Night Marunouchi」を実施しました。(前回のイベントレポートはこちら)。

このイベントは、スタートアップの第一線で活躍する経営者から学びを得るもの。モデレーターはPeatix Japan取締役 藤田祐司さん、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志が登壇しました。

第14回の登壇者は、オープンイノベーション支援の専門家である角 勝さん。角さんが代表取締役を務める株式会社フィラメントでは、大企業における新規事業開発と事業開発プロセスを通じた人材開発や組織開発などを幅広くサポートしています。

さまざまな業界の人々と信頼関係を結び、事業を推進してきた角さん。そんな角さんが長く勤めていたのは、大阪市役所。今回のモデレーターのPeatix Japan取締役 藤田祐司さんは、角さんが公務員時代から親交があり「周りを巻き込んで、献身的に事業をサポートする角さんとお会いして、行政のイメージががらりと変わった」と言います。

なぜ公務員がオープンイノベーション支援を手掛けるようになったのか。さらに、新型コロナウイルスの影響によって、人との出会いが生みだしづらい状況の中、どのように活動をしているのかを伺いました。

 

「大阪イノベーションハブ」を一から立ち上げた公務員時代

イベント冒頭、角さんがなぜ新規事業支援を担うようになったのか経緯が語られました。

大阪市役所に入庁し、福祉局や市政改革室など様々な分野を経験してきた角さんは約20年間、公務員として勤めてきました。そんな角さんが公務員として最後に携わったのが「大阪イノベーションハブ」の立ち上げというプロジェクト。大阪市のイノベーション創出支援拠点として起業家や技術者が集う場を作る一大プロジェクトを任され、希望に満ちていた、と思いきや、角さんが抱いたのは全く逆の感情でした。

「行政がインキュベーション施設を開設して、本当にイノベーター(予備軍)の方が集まると思いますか? 残念ながら、『うまくいかないのでは……?』と多くの人が感じると思うんです。だって、担当者の僕も成功するとは思えていなかったんですから(笑)」

なぜ、うまくいかないと感じるのだろうか。角さんはまずその問いから考えていきました。

「僕が思うにハコモノ行政の課題は三つありました。立地、情報導線、コンテンツです。一つ目の立地については、だいたい行政のハコモノって不便なところにできることが多いんです。でも今回は立地が最高なのでこの点は大丈夫です。

二つ目の情報導線。これはどういうことかというと、ターゲットとなる起業家の卵や大企業の新規事業担当者に『大阪イノベーションハブに来て!』と伝えるための情報の伝達導線ができていなかったんです。

そして、三つ目のコンテンツ。ターゲットを呼び込めたとしても、コンテンツがない。役所の考えは『ハコを作るだけ』に留まってしまいがちで、その後の運営は委託事業者に任せることがほとんど。委託事業者は契約内容をコスト圧縮して実施することで収益を確保しますので、彼らに任せっぱなしだと、日々運営を改善して成果を高める発想が希薄化します。結果、よくある『さびれたハコモノ』ができあがるわけです」

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           <「大阪イノベーションハブ」Webサイト>

これらの課題をクリアしなければいけない。そう感じた角さんがまず取った行動は、自らターゲットとなる起業家の卵や大企業の新規事業担当者とつながっていくことでした。

親和性があるイベントに片っ端から参加。大阪イノベーションハブのプレゼンや名刺交換を通して、積極的に参加者とつながったそうです。そして、名刺交換をした人たちが参加してくれそうなイベントやハッカソンを大阪イノベーションハブで次々と開催していきました。

そして1年経つごとにFacebookの友人が1000人ずつ増えるという結果に。大阪イノベーションハブは年間200回ものイベントを開催し、起業家が集まる共創の場となっていきました。

「大阪イノベーションハブに携わった日々はすごく楽しくて、『天職だ』と思えるくらいでした。しかし、公務員には必ず異動があり、役目を終える日が来てしまいます。公務員として仕事を続けていきたい気持ちもあったのですが、やはり自分の天職に一生を捧げたいという思いが強くなっていきました。

起業を考えたとき、もちろん公務員を辞めることへの不安もありました。妻に相談したときも、最初は『本当に大丈夫なの?』と心配されました。当時、妻が妊娠をしていたこともあり、まずは安心してもらうための準備が必要だと考えました。そこで、公務員として働きながら週末などの時間を使って、起業する上で必要となる大企業との繋がりや経験、自信を養うために、2つのKPIを立てて、1年間かけて達成するための努力を自分へ課しました。

2つのKPIとは、1つ目はとにかくたくさん東京に行くこと。メディアも大企業も東京に集中していますから東京での足場固めは重要と思いました。2つ目はイベントなどの登壇をできるだけ引き受けること。小さいイベントでも登壇者となればWeb上に痕跡が残りプレゼンスが上がります。この視点で活動することで実際成果は出ましたね。1年後には、ビジネス誌の週刊ダイヤモンドにも僕のことが掲載され、妻からも、『(これからの未来について)ワクワクするね』と言ってもらえて。この言葉が支えになって私の自信も深まり、フィラメントを創業することに決めました。」

 

コロナ影響下でも突き進む、フィラメント式「偶然の出会い方」

様々な業界と関係を築き、共創型の事業開発を武器とする角さんですが、オープンイノベーションで最も大切なことについて「信頼関係」を挙げます。

「オープンイノベーションや新規事業に関わる人々にとって特に大事なのが、“社内”の人たちとの信頼関係です。人間って自分が所属する組織を大したことがないと、ネガティブになりがちなんですよね。何か言うときに、『どうせ』という言葉が付いてまわります。

特に、社外との接触が多い方は、社内の人を見下しがち。その姿勢で信頼を欠いてしまう。社内の人の良いところを見つめ、適切に評価できると、良い関係性が生まれる。そのマインドができていないと、オープンイノベーションはうまくいかないと考えています」

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          <株式会社フィラメント 代表取締役 角勝さん>

リアルの場を通して、他業界の人と関係性を結び、オープンイノベーションを促進してきた角さん。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面で会うことが難しくなり、偶発的な出会いも生まれにくくなった今、どのように活動しているのでしょうか。

「オンライン上でもいろんな人が集まれる場を作ろうと考えたんです。例えば、新型コロナウイルスの影響でテレワークを余儀なくされ、そのノウハウを知りたい人が続出しました。

そこで、以前からテレワークを実施していた経営者を呼んでラジオ番組みたいに気軽に聴けるオンラインイベントを開催しました。社内の取り組みだとフィーカという公式雑談タイムを作ってそこにゲストをお呼びしたり、意識的にオンラインで気軽に集まれる場を作っています。外部の情報を取り込み、それをもとに情報発信するサイクルをつくることで、新たな出会いが継続的に生まれるようにしています」

イベントに加えて、現在オンラインで大企業の新規事業ワークショップなども実施。コロナ禍におけるオープンイノベーションのあり方を模索したいと、意気込みを語りました。

★次回のFounders Night Marunouchiは、8月19日(水)にラントリップ代表 大森英一郎さん
をお招きし、オンラインで開催予定です。初めての方でも大歓迎です!どなたでも無料で
ご視聴頂けますので、こちらよりお気軽にお申し込みください。

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●過去のイベントレポート
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