2020年7月22日(水)、三菱地所が運営するEGG JAPANのビジネスコミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」が共同開催する「Founders Night Marunouchi」を実施しました。(前回のイベントレポートはこちら)。

このイベントは、スタートアップの第一線で活躍する経営者から学びを得るもの。モデレーターはPeatix Japan取締役 藤田祐司さん、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志が登壇しました。

今回は、BizteX株式会社の代表取締役 嶋田光敏さんが登壇。同社は、定型業務を人間の代わりに実施するクラウド型RPA「BizteX cobit」を提供。テクノロジーの力で人間をルーティンワークから解放し、創造的な業務に集中できる世界を目指しています。

嶋田さんはもともとJ-フォン株式会社(現ソフトバンク株式会社)で法人営業をしながら、香川県に拠点を置くサッカーチーム「カマタマーレ讃岐」でサッカー選手として活躍していました。その後、サッカー選手を引退し、東京に異動。その10年後、40歳の時にBizteXを創業しました。

人生の節目で周囲からかけられた言葉が起業の後押しになったと話す嶋田さんに、プロサッカー選手からIT起業家になった異色のキャリアの背景をお伺いしました。

 

サッカー選手からIT起業家へ。キャリア変遷の裏側

 

「サッカー選手からIT業界で起業って、とても珍しいキャリアですよね」

モデレーターのPeatix Japan取締役 藤田祐司さんの言葉から始まりました。

嶋田さんが所属していたカマタマーレ讃岐は当時、四国リーグという地域リーグでJリーグ入りを目指して本格的に活動を開始していました。一方、プロではなくアマチュアであったため、仕事ではJ-フォン(現ソフトバンク)に就職。昼間はスーツを着て法人営業、夜はユニフォームを着てサッカー選手という生活を送っていたと言います。

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BizteX株式会社 代表取締役 嶋田光敏さん

しばらくはサッカー選手と会社員を両立していた嶋田さんですが、若手選手が増え出場機会は徐々に減少。サッカー選手をいつまで続けていくのか、決断を迫られることになります。

一方、Jフォンでは持ち前の話術と明るさでお客さんと打ち解け、31歳の時には四国支社にいながら営業成績で全国No.1を獲得。着実に実績をあげていきました。そんな嶋田さんを見て、ある一人の同期がこう声をかけました。

「嶋田ならこの会社(現ソフトバンク)で活躍できる。東京にでてきてチャレンジしないか!」

「この言葉で迷いがふっきれて、サッカー選手を辞める覚悟ができました。後から知ったのですが、その同期は役員陣に『嶋田を東京に呼んでほしい』とはたらきかけてくれていたそうで。周囲からの期待が、チャレンジを後押ししてくれましたね」

 

「自分の登る山を決めろ」孫正義さんの言葉が起業のきっかけに

 

東京で新たなスタートを切った嶋田さんは、料金プランを作る企画部署や新規事業部など様々な部署で経験を積んでいきました。

そんななか、嶋田さんを起業へと後押しするあるきっかけがありました。それが、ソフトバンクアカデミア(孫正義さんの後継者を育成する企業内学校)で耳にしたある言葉です。

「孫さんがある講義で『自分の登る山を決めろ。自分の一生をかけてやり遂げることを見つければ半分成功したようなもんだ』と話していたんです。それを聞いて、ハッとさせられて。自分は今、孫さんのつくった山を登っているだけではないのか、と」

自分も志をもって自分の山を登りたい。この思いから、40歳となった年に嶋田さんは起業の道へ一歩を踏み出したのです。

「起業して分かったのは、自分の原体験から事業をつくる大切さでした。当初はシェアリングエコノミー関係のサービスを検討したりしていたのですが、僕はBtoCのサービス開発や営業経験がなかった。だから説得力のある説明ができず、仲間も投資家も集まらなかったんです。

そんなとき、ルーティン業務を人間の代わりにロボットに代行させる 『RPA(Robotic Process Automation)』という領域を知りました。ルーティン業務の多さに不満を抱えていたソフトバンク時代のメンバーを思い出し、これはニーズがあるのではとピンと来て。自分が得意とするBtoB領域だったこともあり、事業拡大をするイメージも具体的に沸いたので、この領域で勝負することを決めたんです」

同社が開発したBizteX cobitは、国内初のクラウド型RPAであり、月20万円程度のコストで平均300時間の業務改善が可能になっています。また、エンジニアのように専門知識をもった人でなくとも、直感的に操作できるUIを徹底。低コストで成果が見込め、操作性も高いことが評価され、サービス導入企業数は3年で5倍以上に。大きな成長を遂げました。

キャプチャ

https://www.youtube.com/watch?time_continue=60&v=JeTaIBv5RpA&feature=emb_logo
BizteX cobitのイメージ動画

とはいえ、ここまでの道のりは決して順風満帆とは言えませんでした。マネジメント力不足を発端に、一度は組織が崩壊しかけてしまったこともあったそう。

「僕自身はどちらかというと成果をがむしゃらに追うタイプで。『常に期待以上の成果を出すべきだ』といった意識が強かったんですね。だから、社員にもプレッシャーをかけるようなマネジメントをしてしまっていた。でも、スタートアップでは皆んな中途入社で集まっている中、そのスタイルが合う社員ばかりではなく、大きな反発を招いてしまったんです」

そんな時、嶋田さんの支えになったのが、現取締役CSO(最高戦略責任者)の武末健二朗さんでした。武末さんは戦略の策定のみならず、社員一人ひとりと面談をし、組織を一から立て直していってくれたのだそう。「経営者として、自分に不足しているまたは苦手な部分を補ってくれる人材に加わってもらう重要性を実感した出来事だった」そう嶋田さんは語ります。

「仲間の力を借りながら、BizteXは組織としても強さを増してきていると感じます。現在、コロナ禍でリモートワークが一般化してきています。働き方が見直されている時代だからこそ、BizteXが提供できる価値はさらに高くなると考えています。このチャンスを逃さず、いまお問い合わせの多い大手企業様にもしっかりサービス提供して成長していきたいですね。」

という嶋田さんの言葉でイベントは締めくくられました。

次回のFounders Night Marunouchi Vol.15(ラントリップ代表 大森英一郎さん編)は、8月19日(水)にオンラインで開催いたします。ご興味がある方は、ぜひこちらよりご参加ください。