2020年6月24日(水)、三菱地所が運営するEGG JAPANのビジネスコミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」が共同開催する「Founders Night Marunouchi」を実施しました。(前回のイベントレポートはこちら)。

このイベントは、スタートアップの第一線で活躍する経営者から学びを得るもの。

今回は、LinkedIn 日本代表の村上臣さんが登壇。同社は世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」(以下、リンクトイン)を運営しています。リンクトイン上で個人がプロフィールやポートフォリオを公開すると、企業側はそれを見てダイレクトリクルーティング等が行いやすくなるなど、同サービスは企業と個人を直接つなぐプラットフォームとして活用されています。モデレーターはPeatix Japan取締役の藤田祐司さん、そして東京21cクラブ運営統括の旦部聡志が登壇しました。

村上さんは大学時代に、現ヤフー代表取締役社長の川邊健太郎さんと有限会社「電脳隊」を設立。その後、ヤフーとの合併に伴い、同社に入社しました。一度退職した後、2012年にヤフーに再入社。執行役員兼CMO(チーフ・モバイル・オフィサー)としてモバイル事業の企画戦略を担当します。そして、2017年にはリンクトインの日本代表に就任しました。

スタートアップから日系大手、外資系に至るまで様々な組織において、インターネットビジネスの最前線で戦ってきた村上さん。「筋肉痛のない筋トレは意味がない」と語り、常に新たな環境で挑戦を続けてきた村上さんに、キャリア変遷をお話いただきました。

 

起業かヤフーか。迷っていた村上さんの背中を押した仲間の言葉

 

11年間勤めたヤフーを退職し、その1年後に再びヤフーに戻った村上さん。イベントでは、まずその経緯から語られました。

村上さんが戻ったばかりの頃、ヤフーのアプリは、アプリストアのランキングにほとんどランクインしていない状態。モバイル化に遅れをとっていたと言います。そこで、元ヤフー代表取締役社長の宮坂学さんが就任するタイミングで、全社をあげてスマホシフトを目指すことが決定。この旗振り役として、在籍時に「Yahoo!モバイル」「Yahoo!ケータイ」などの開発を担当していた村上さんに声がかかったのでした。

「声をかけられた時は、ヤフーを辞めて昔の仲間とすでに起業をし、新規サービスの準備をしていました。ヤフーに戻るべきかどうか迷いました。そんな時、背中を押してくれたのが起業仲間でした。『俺との起業はいつでもできる。でも、数千人規模の会社の一大改革を担えるチャンスなんて今しかないだろう』と。それでヤフーに戻ることを決意したんです」

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LinkedIn Japan代表の村上臣さん

Webでの収益が出ていることからスマホシフトへの反発もあった中、村上さんがまず取り組んだのは「変化」を是とする社風を生み出すことでした。時代の流れにあわせて、スピード感を持って社内を動かしていくために「爆速経営」というキャッチコピーを掲げたのです。そして「爆速」と書かれたTシャツを着て社内を歩くなど、地道に浸透を図りました。それだけでなく、モバイル化を進めるための仕組みも整えていったと言います。

「キャッチコピーなどの精神論で人を動かせるのは、3ヶ月までだと考えていました。モバイル化のように2〜3年を要するプロジェクトでは、制度が何よりも重要。どのような行動が評価されるのかを明文化し、成果に応じてボーナスを増やすなどの制度を整えました。それによって『今はモバイル化に注力すべき』という雰囲気を作り出すことに成功しました」

その結果、2017年にはスマホ広告の売上比率が全体の半分以上に。Yahoo!ショッピングも取扱高の半分以上がスマホ経由になるなど、大きな成果を残すことに成功したのです。

 

「筋肉痛のない筋トレは意味がない」新たな環境で挑戦し続ける理由

 

モバイル化改革に成功した村上さんが、次なる活躍の舞台として選んだのは、リンクトインでした。なぜ、外資系企業を選んだのか。そう問われると村上さんはこう答えました。

「人生において常にチャレンジし続けていたいんですよね。新しい環境に飛び込み、自分を鍛える。できることが増えたら、また次の環境へ。リンクトインの日本支社はまだ50名程度の組織で、ヤフーとは企業規模も大きく異なります。新たな環境で毎日のように筋肉痛を味わっていますね(笑)。でも、筋肉痛がない筋トレは意味がない。そう思っています。

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また、リンクトインを選んだのは、目指す世界観に強く惹かれたからだとも言います。

「現在の日本の雇用環境は課題が多いと感じています。今後は終身雇用制度がなくなり、50代〜60代で職を失う人が増えるかもしれません。僕は今年で43歳になりますが、同じ年代でも雇用の問題に苦しむ人は少なくありません。そんな社会情勢だからこそ、リンクトインを通して個人のスキルや経験をインターネット上で可視化し、頑張っている人がより報われやすい世の中をつくっていきたい。そう考えたのです」

新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、リンクトインがサービスを提供する就職、転職市場においても大きな変化が起こっています。これまでのように直接会う形での面接や説明会の開催が難しい今、リンクトインを通して就職や転職など通じた個人のキャリア形成の新たなモデルを提供していきたい――。そんな村上さんの言葉で、イベントは締めくくられました。

今回もYouTubeへのコメントを通して多くの質問や意見もいただくなど、イベントは盛況のうちに終了しました。次回のFounders Night Marunouchiも、7月22日(水)にオンラインで開催いたします。詳細については近日中にEGG JAPANのWebサイトにてお知らせいたします。興味がある方は、ぜひお気軽にご参加ください!