2020年1月22日(水)、東京21cクラブにてイベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」と共同開催のイベント「Founders Night Marunouchi」を開催しました。

このイベントは、スタートアップの創業者がサービス立ち上げのきっかけから現在までの軌跡を語るもの。第5回となる今回は、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する株式会社Kaizen Platform代表取締役社長の須藤憲司さんに登壇いただきました。聞き手は、Peatix Japan取締役 藤田祐司さんです。

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左からPeatix Japan取締役 藤田祐司さん、右が株式会社Kaizen Platform代表取締役社長の須藤憲司さん

須藤さんは新卒で株式会社リクルートに入社。その後、最年少で執行役員にまで上り詰めた経歴を持ちます。そんな須藤さんは2013年、ユーザー行動データを用いたパーソナライズ機能開発やUI/UX改善を一気通貫で行えるサービス「Kaizen Platform」を開始しました。リリースから2年半で170社に導入され、同サービスが改善した売上総額は創業から3年で240億円にのぼるといいます。現在の導入企業数は累計500社以上となり、今もシェアを伸ばし続けています。

須藤さんは同社をいかに成長させてきたのか。また、2017年に迎えたという同社最大の危機をどう乗り越えたかについて、今回のイベントで語られました。

 

成功の秘訣は明確なポジショニングと価値提供にあった

 

イベント冒頭、創業からすぐにシェア拡大に成功した理由について、須藤さんは「ポジショニングと提供価値を正しく見極められたから」と語ります。

ポジショニングとは「何を行っている会社なのか」を明確に社会に打ち出すことです。「スタートアップは『どんな価値を提供するか』から議論しがちですが、まずは会社を認知してもらうのが先。知ってもらえなければ、価値提供の機会すらもらえません」と須藤さんは話します。

その上で、イベントではKaizen Platformが築いたポジションについて語られました。

須藤「僕らが事業を軌道に乗せられたのは、『A/Bテストを提供する会社』というポジションを業界内で築けたからだと考えています。当時は、その領域で事業をしている会社が少なかったため『A/Bテストと言えばKaizen Platform』と明確なポジションを確立できました」

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ポジションが確立されて初めてサービスが認知してもらえる。その上で、提供する価値にもある工夫が必要だと須藤さんは続けます。

須藤「まだ認知度が低いスタートアップは、ユーザーから期待された通りの価値を提供するだけでは生き延びることはできません。常に期待以上を目指すことが成功の秘訣です」

例えば「喉が渇く」というユーザーニーズに対してペットボトルの水を販売するだけでは、物量や販売網で勝る大企業には勝てません。しかし、「喉が乾かない塩分控えめの食事キットの販売」であれば、優位性を築けるかもしれない。今までにない、予想超える価値提供がスタートアップには求められているのです。

須藤「Kaizen Platformは、A/Bテストツールを提供することから始めました。しかし、クライアントの期待値を超えるため、今では課題分析から、約1万人のグロースハッカーによる改善策の提案、継続的なPDCAの実施に至るまで事業成長に必要な施策を一気通貫で提供しています。相場の費用対効果を上回る価値提供が、Kaizen Platformの優位性につながっているのです」

 

直面した会社の危機。全社員の前で「このままだと倒産する」

 

好調な滑り出しを見せたKaizen Platformですが、2017年に大きな転機を迎えます。

須藤「いくつかの大型案件の契約終了と同時に、巨額のコストが発生する見通しでした。キャッシュが底をつきそうになってしまったんです。このままいくと10ヶ月後には倒産してしまう状態でした」

その時、須藤さんがとったのは思いがけない行動でした。なんと、全社員を集め「会社がこのままいくと倒産する可能性がある」と正直に伝えたのです。そして、「この危機を打開するアイデアがある人はいつでも教えてほしい」と頼みました。

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すると驚くことに、社員が次々と会議室を訪れたのです。実現可能なアイデアは取り入れ、施策を実施。売り上げは増加し、倒産危機を無事回避できたのでした。

会社の危機に対して、社員が一致団結して立ち向かうのは簡単ではありません。なぜKaizen Platformでは、それが可能だったのか。須藤さんは、創業時から大切にしている信念が大きく影響したのではないかと振り返ります。

須藤「社員が自分の家族に誇れない事業は、たとえ儲かるとしても絶対にやらない。起業当初からそれだけは常に気をつけてきました。会社という同じ船に乗る人のご家族やパートナーのことを、何よりも大切にしてきたつもりです」

社員の家族を大切にする須藤さんの信念は、企業文化にも反映されています。社員の子どもが熱を出せば、仕事は他の社員で巻き取り、すぐに家に帰れるようにする。「幸いな事に我々は人の命をお預りするような事業ではないので、家族より大切な仕事はない。必ずチームでカバー可能」須藤さんは、はっきりとそう断言します。

その信念があったからこそ、「なんとかこの会社を守りたい」という思いが社員の間に芽生えたのでしょう。だからこそ、Kaizen Platformは危機を乗り越えられたと言います。精緻な事業戦略だけではなく、人の結びつきの強さが、会社の大きな強みになっているのです。

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イベント後は、参加者と登壇者が意見交換する交流会を開催。盛況のうちに終了しました。

次回のFounders Night Marunouchiは、2月5日(水)に開催いたします。株式会社HERP代表取締役CEOの庄田一郎さんとPeatix Japan株式会社 代表取締役の岩井直文さんが登壇します。モデレーターを勤めるのは、Peatix Japan株式会社の畑洋一郎さん。興味がある方は、ぜひご参加ください(チケットのお申し込みはこちら)。