新規市場創造の鍵は、マーケットトレンドの先読みにあり—— 。

2019年11月7日(木)、EGG JAPANの東京21cクラブにて、新規市場創造に取り組む起業家の方々を招いて経験談を伺う会員限定イベント「Marunouchiイノベーターズサロン」を開催しました。

第3回にお招きしたのは、RPAホールディングス株式会社 代表取締役の高橋知道さんです。機械学習や人工知能等を活用した業務効率化「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」分野で事業を行う同社は、2018年3月に東証マザーズに上場。そのわずか1年後の2019年3月には、マザーズから史上最速で東証一部へ上場変更を果たしました。

株式会社セレブレイン代表取締役社長 高城幸司さんを聞き手に、同社がRPA分野に注力するに至った経緯から成功までの軌跡を伺いました。

6年にわたる赤字。それでも信じて投資し続けた

高橋さんは、アンダーセンコンサルティング株式会社(現アクセンチュア)、ソフトバンク株式会社(現ソフトバンクグループ)を経て、2000年にRPAホールディングスの前身となるオープンアソシエイツ株式会社を設立しました。

当初はインターネット事業を手がける予定でしたが、創業直前にITバブルが崩壊。同社もその煽りをうけ、資金調達が出来ず当初予定していた事業を断念せざるを得ませんでした。そこで始めたのが、アクセンチュア時代の経験も活かした、コンサル事業でした。

「資金が無かったので、ソフトバンク時代にインターネット事業を幾つか立ち上げた経験と、前職のコンサルティングノウハウで、大企業向けにインターネットを活用した新規事業コンサルティングをはじめました。それが思いのほかあたり、顧客は徐々に増加。事業は無事軌道に乗り始めました」

当初は会社存続のためにはじめたコンサル事業は、大きく躍進し、同社は着実に成長。企業規模も拡大しました。しかし、2008年にリーマンショックが発生。半数近くの案件が中止になり、高橋さんは再び窮地に立たされました。そこでの経験から、同社は再びIT事業へ舵を切ります。

「経済危機によって経済が崩壊するのではなく、それがきっかけとなって時代が大きく変化するのです。そこで、次の中長期の方向性を社内で議論し、内部留保と新規事業コンサルティングで培ったノウハウと人材を元手に、テクノロジーを活用した新規事業を幾つか立ち上げました。その一つがBizRobo!、現在RPAと呼ばれるサービスだったのです」

RPA02

今や市場規模はおよそ600億円とも言われるRPA分野ですが、当時は世間からまったくと言ってよいほど注目されていませんでした。「立ち上げから6年間、事業としては赤字続きだった」と高橋さんは振り返ります。

それでも地道に事業を続けた結果、立ち上げから4年後の2012年、日本生命が窓口販売業務の効率化にRPAの実証実験を開始。続いてオリックスグループ、三菱UFJ銀行の導入も決まり、徐々に利用企業は増加していきました。

そして2015年に、RPAブームが到来。この波にのり、同社はこれまで積み上げてきた技術力と実績を背景に躍進。2018年のマザーズ上場、今年の一部上場と急成長を遂げました。

鍵は、メガトレンドの読みとポジション確立

同社は、ブーム到来の8年も前にRPA分野に参入。その後、赤字の中、6年間同分野に注力し続けてきました。また、イベントでは、同社がトレンドを先読みし、先行投資を続けられた理由についても語られました。

「共同創業者の大角が『RPAは必ず誰もが当たり前のように活用する道具となる』と確信を持っていたのです。大角は前職のITコンサルティング時代に、業務システムでは解決出来ない現場のルーティンワークに非常に強い問題意識を持っていました。これを解決するために、人の作業を代行するロボットを活用する事が将来当たり前になる。そう予測し、粘り強く事業を継続しました」

RPA03

事実、大角さんの予測は的中します。2013年にはオックスフォード大学が、米国の雇用者が行う業務の約半数が今後自動化されるとする報告書を発表。その後、マッキンゼーも「約6割の職業において、タスクの3割が自動化される」と発表しました。これらを契機にRPAの認知は徐々に向上していきます。同社はこの契機を逃さず、認知の形成に尽力しました。

RPA協会やメディア『RPA BANK』を設立し、RPAがもたらすインパクトや活用事例を積極的に公開。同時に、書籍出版やテレビ出演も行い、RPA分野におけるリーディングカンパニーとしての認知獲得に成功したのです。

「こうした広報活動は弊社の企業認知はもちろん、RPAの利便性や革新性を訴求し、ブームを拡大させる狙いもありました。その狙い通り、競合他社も次々に参入。市場作りにも大きく寄与し、事業を大きく成長させることができました」

イベントの最後には高橋さんから新規市場創造の鍵が語られ、講演は締めくくられました。

「事業と向き合う上では、メガトレンドを読むことが何よりも重要だとソフトバンク時代に孫さんに教わりました。この30年間を振り返ると、まずパソコンが大衆化し、そこから10年ごとにインターネット、スマートフォンが大衆化してきました。次の10年は、AIやロボットが大衆化する時代になる。こうしたメガトレンドを見据え打ち手を考えることが、経営者として非常に大事な仕事なのではないでしょうか」

RPA04

講演の後は、参加者同士が自由に意見を交わす懇親会が行われ、イベントは盛況のうちに終了しました。

次回の「MARUNOUCHIイノベーターズサロン」は1月29日に開催予定 です。詳細が決まり次第、EGG JAPANホームページにてお知らせしていきます。