ワインと同じ土俵で戦える日本酒を。世界を目指す永井酒造が語る未来。

ワインと同じ土俵に乗る日本酒を作らなければ、世界は見向きもしてくれない――。そう語るのは、永井酒造株式会社 代表取締役社長の永井則吉さんです。

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2019年9月11日(水)、EGG JAPANでは「東京21cクラブ」が主催する、新規市場創造に取り組む起業家を招き、思いや経験談を伺う会員限定イベント「MARUNOUCHIイノベーターズサロン」を開催。第2回目となる今回は永井さんに登壇いただき、現在注力するスパークリング日本酒「awa酒」についてお話しいただきました。

聞き手は、リクルートにて日本初の独立起業情報誌「アントレ」の立ち上げに関わり、事業部長、編集長などを務めた経歴を持つセレブレイン代表取締役社長の高城幸司さんです。

世界中の乾杯シーンで使われるような日本酒を

イベント冒頭、永井さんからは日本酒業界が陥っている厳しい現状について語られました。

飲酒人口の減少や他アルコール飲料との競合を背景に、日本酒の国内出荷量は20年前に比べ半数以下。酒類販売の自由化に伴う大手小売店の参入もあり、価格競争も激化し、蔵元にも大きな影響を与えているといいます。

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こうした現状を変えようと、永井さんが考えたのは世界中から愛されるワインと肩を並べるような商品開発。特にシャンパンやスパークリングワインなど世界中の乾杯シーン飲用される高価格帯の日本酒でした。

通常、良質なシャンパンやスパークリングワインは、透き通った見た目と美しい一筋泡をもつとされています。一方、日本酒の場合、濁りをとる過程で発酵が弱まり、綺麗な泡が立ちづらくなるため、透明さと均質な発泡の両立は難航。5年という開発の過程で700回以上の失敗を繰り返しました。

永井さん「何度も心が折れそうになった中で、『これで何も得られなかったら開発を辞める』と訪れたワインの本場シャンパーニュでの学びが、私の志を後押ししました。現地で開発の肝となる発酵時の温度管理を学び、ついに製法を確立したんです」

こうして2008年に生まれたawa酒は、酸味が少なくナチュラルな泡を持つことから食材の本来の味を引き立てると評判が広まり、世界の名だたるレストランからオファーをもらえるようになりました。

image_3 永井酒造で製造されているawa酒「MIZUBASHO PURE

5,000円という、一般的な日本酒と比べると高単価にも関わらず数万本を出荷したawa酒。しかし、永井さんは1社だけで日本酒を世界のスタンダードにできないと感じていました。

永井さん「志を同じくする酒造とともに業界を盛り上げなければいけない。awa酒をブランド化し、世界展開を進めていくことを決意したんです」

そこで、2016年に「一般社団法人awa酒協会」を設立。原材料やガス気圧、透明度、アルコール度数など6つの厳しい品質基準を設定し、ブランド化を進めました。現在、20あまりの酒蔵とawa酒の開発、品質改善などに取り組んでいるといいます。

日本酒と食材のペアリングで、さらなる展開を

2008年の完成以降、世界展開を順調に進めるawa酒。一方で、日本酒の全体出荷量のうち輸出が占める割合は、平成30年で4.9%とまだまだ伸びしろのある数値です。

こうした現状に対し、永井さんはawa酒以外にも米本来の魅力を引き出す商品開発を進め、料理とのペアリングで日本酒を堪能するスタイルを「NAGAI STYLE(ナガイ スタイル)」と名付け、世界に新たな楽しみ方を提案。そのために、長期熟成の概念を持ち込んだ「Vintageシリーズ」や、氷温のセラーで5年以上熟成された「水芭蕉 Dessert Sake」も開発しました

永井さん「awa酒『MIZUBASHO PURE』は食前酒として前菜と共に。従来の純米吟醸や純米大吟醸は、前菜から魚介のメイン料理に。そして、メインの肉料理と『VintageSake』をお楽しみいただいた後は、デザートと『水芭蕉 DessertSake』を。一連の料理にあわせて、日本酒を堪能し尽くすこの『NAGAI STYLE』を世界に広めていけたらと思っています」

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永井酒造株式会社代表取締役兼awa酒協会会長 永井則吉さん

日本酒と食材の理想のペアリングを叶える「NAGAI STYLE」を知ってもらうことで、よりその魅力が世界に伝わるはず――。その思いを胸に、永井さんの挑戦は、まだまだ続きます。

講演の後は、awa酒を飲みながら懇親会が行われ、イベントは盛況のうちに終了しました。

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次回の「MARUNOUCHIイノベーターズサロン」は11月上旬に開催予定。EGG JAPAN 東京21cクラブでは、他にもさまざまなイベントを開催しているので、ぜひご参加ください。