2019年4月18日(木)、EGG JAPAN 東京21cクラブにて「丸の内フロンティア定例会」を開催しました。今回のテーマは「シリコンバレー発のAI革命の本質と日本企業が陥るワーストプラクティスの突破口」。スタンフォード大学アジア太平洋研究所櫛田健児さんによる講演が催されました(企画協力/イシン株式会社)

■講演内容(抜粋)

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私は、大学はスタンフォード、大学院はUCバークレーへと進み博士号を取得。在学中を含めシリコンバレーで20年間過ごしています。この間、シリコンバレーが価値の作り方を大幅に変えていくのを目の当たりにしてきました。スタートアップとイノベーションの中心地から、世界の価値を創り出す場所への変革が起きています。

GAFA(Google、Amazon.com、Facebook、Apple Inc.)も拠点を構えるシリコンバレーには新興企業がひしめいています。シリコンバレーのベンチャーキャピタルは100社に投資して、そのうち1社の急成長で利益を上げます。残りは潰してしまうか、あるいは売ってしまう。投資家たちは一発の場外ホームランを狙います。GAFAをはじめとした豊富なプロセッシングパワーを持つシリコンバレーにはソリューションをスケールする力学が存在し、そのために必要な付加価値を妥協なく考えられる場所に変貌を遂げています。

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現在、世界中でAIは目覚しい発展を遂げています。AIにGoogleデータセンターの空調を制御させると、40%もの効率化に成功しました。AIができることの幅はこの2年間で大きく広がりました。生活に導入するとさまざまな利益を得ることができ、それにともなって一般人でも自由にAIを使える世界が、すぐそこまできています。

AI革命の本質は、AIの技術特性のみにかかっているものではありません。革命は技術で何ができるかではなく、誰が何に使うのかによって進みます。革命の本質を見るためには、技術だけではなく関係する外的要因に目を向けることが大切です。その上で、業界の仕組みや政府の制度によってインパクトが大きく影響してきます。成田空港やUberのように、企業や行政の利害により新技術の浸透が促進されることもあれば、抑圧されることもあります。

新しい技術が実用段階に入ると、勝者はそれに付加価値を付けます。そのときに何が価値であり、どこが顧客のペインポイントかを理解して測ることが大切です。現代では、顧客の抱えるペインポイントをいかに効率的に計測できるかは、クリエイティビティ次第で決まってきます。

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アメリカ、特にシリコンバレーは大量のキャッシュを持っています。付加価値を創造し、新規事業を次々に成長させていることは、シリコンバレーにいる企業の時価総額を見てもわかります。Teslaが生産する自動車は現在多くのライバル企業を抑えて高い売り上げを上げています。業績が良くなると新たな事業を始めて資金難に陥る、上向いてくるとまた新しい事業を始める。従来の企業では考えられない動きです。これを成功体験とみていた人々が大量に育ち、シリコンバレーに流れ込んできています。

AIの進歩によって意図せずディスラプト(破壊)される業界が、今後は増えるのではないでしょうか。他業種・業界に目を向け、AIで何をするのか、どのような価値を作っているのか、自分たちはどのような価値を作っていくのか注意を払うべきです。AIは、まだどう化けるかわからない未成熟の状態です。プロセッシングパワーの爆発的な増加が、たくさんの可能性を生み出している最中です。

講演の最後に、櫛田さんはシリコンバレーの日本企業が陥るワーストプラクティスを挙げ、日本ではまだ発達していない考え方を勉強する必要があると述べられました。

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質疑応答の時間には、「なぜ日本では価値創造ができないのか」、「先進的な動きを続けていくにはどうすべきか」、「日本人の感性、体質では価値に気づけないのでは」など、熱のこもった質問が登壇者へ投げかけられました。

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講演後の懇親会では、登壇者・参加者による軽快な冗談も飛び交うなか、終始なごやかな雰囲気で定例会は終了しました。