6月16日、丸の内フロンティア・ネットワーキング定例会が行われました。

今回のテーマは『国内大企業のベンチャー連携による事業展開と三菱総合研究所の取り組み』。

近年、国内において大企業のオープンイノベーションの動きがかなり盛んになってきています。これまでベンチャーと言えば、シリコンバレーが世界の中心でしたが、国内では少し違った動向が見られるようになってきました。国内大企業は、ベンチャーとどのような連携を進めているのでしょうか。

民間企業の新規事業戦略、新商品・サービス開発に係るコンサルティングの専門家である、株式会社三菱総合研究所の松田信之さんをお招きして、国内大企業とベンチャーとの連携について具体的な事例を交えてご紹介いただくとともに、三菱総合研究所におけるオープンイノベーション推進の取組みについてお話しいただきました。
本日はそのイベントの様子についてレポートいたします。

【今回のトピック】
■自己紹介、三菱総合研究所の紹介
■国内大企業の新規事業展開
■大企業とシリコンバレーベンチャーの関係性
■三菱総合研究所における新たな取り組み
■質疑応答

まず、松田さんから簡単に自己紹介をしていただきました。

大学時代、機械工学科に在籍して設計手法に関する研究を行っていました。趣味でプログラミングをやっていたこともあり、学生の頃に学習塾向けのラーニングマネジメントシステムを提供するスタートアップの立上げにも参画していました。 三菱総合研究所入社後から現在まで、民間企業の新規事業立上げとして、新規事業戦略立案やマーケティング調査から、販売代理店の開拓やプロモーション施策といった実行支援まで幅広く大企業を支援しています。

自己紹介が終わったところで本題へ。

 

一つ目のトピックは「国内大企業の新規事業展開」についてです。

ここ数年で、新規事業に関するトレンドが変わってきています。
これまで、企業の社内技術や商品はできる限り外部に漏れないように調査や開発が行なわれてきました。しかし最近では外部と連携したい、自分たちの業種だけではなく他業種の動向を知りたいというニーズが増えています。

既存事業の延長ではなく、外部と連携して新しい事業を展開したいと思っている企業が多くなってきているのかもしれません。企業が今の取り組みや今後挑戦したいことなどを積極的に発信していくことによって、他の企業といい関係が築けるのではないでしょうか。

新規事業の現場では様々な障壁があります。例えば、すでに成熟化している市場では、あらゆる商品が出尽くしてしまっていて新規商品がニッチになってしまう傾向があります。また、企業の内部の事情として、既存のものを売ったほうが売り上げにつながるので、どれくらい売れるか分からない新規商品のために営業部がなかなか動いてくれない、ということもよく目にする現状です。

こうした現状の中、大企業ではベンチャーを活用して新規事業を作っていこう、という動きが増えてきています。大企業だけでは、市場性が不透明で実現可能性も不透明なビジネスには参入が難しいですが、ベンチャーと組むことで、そういった新しい分野にチャレンジする新規事業の立上げがうまくいく可能性があります。実際にP&GやGEといった世界的に有名な大企業はベンチャー企業と連携を加速しています。
しかし、連携時のよくあるミスマッチとして大企業とベンチャーでお互い求めているもののズレがあります。目指すものを明確にして、お互いの期待値を合わせたうえで進めることが大切です。

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二つ目のトピックは「国内大企業とシリコンバレーベンチャーの関係性」です。

シリコンバレーでは、大企業による買収が盛んなため、特定の大企業に買収されることを目的としたベンチャーも多くあります。しかし、国内ではまだそういったベンチャーが少ないため、シリコンバレーよりも大企業とベンチャーのマッチングが難しいという問題があります。
シリコンバレーはベンチャーによるイノベーションの中心であり、学ぶべきところが多いのは事実ですが、シリコンバレーと日本では企業のあり方や考え方が異なるため、シリコンバレーの真似をするのではなく、日本ならではのベンチャーの活用を工夫することが必要です。

 

最後は「三菱総合研究所における新たな取り組み」についてのお話で締めくくられました。

これまで三菱総合研究所では、シンクタンクとして官公庁への政策提言や出版等を通じた課題提言を行ってきました。
これからは、提言だけではなく、産官学市民をネットワーク化して世界の知を集め、最適に組み合わせて共創・実現を促すプラットフォーム「未来共創イノベーションネットワーク」を立ち上げ、企業と社会の真ん中に立ちハブの役割を担っていきたいと思います。そこで社会課題をしっかりと世の中に提示し、その解決にチャレンジするベンチャーや大企業を支援していきます。

「未来共創イノベーションネットワーク」の今年度の施策として、「ウェルネス」を社会課題のテーマとするビジネスアイデアコンテストを企画。優勝者には賞金が出るほか、著名なアントレプレナーシップ・プログラムにも参加できます。

興味のある方はぜひ下記の三菱総合研究所の「未来共創イノベーションネットワーク」のサイトからエントリーしてください。

三菱総合研究所 INNOVATION NETWORK

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登壇してくださった皆さま、ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。

 

—————— ここから先はセッションメモ ——————

【Q&A】
Q.大企業から委託を受ける受託型ビジネスモデルはデメリットか?
A.受託型のビジネスが悪いということではない。しかし、受託型のビジネスは、お金をもらうかわりに発注者の指示通りにする、ということなので、ベンチャー側に自分の思い描くビジネスをやりたい気持ちがあるなら、受託型では難しいと思う。大企業からすると委託開発の方が使い易いので、ベンチャーとして売り上げを取るという目的なら選択肢としてはあるだろう。

Q.うまく外部の力を取り込みながら社内を動かして新規事業を前に進める秘訣やポイントは?
A.例えば営業部を動かすには、その商品が売れることを証明するのが一番。コンサルなど活用し、その商品を売るための営業ツールとか、売るための魅力や見せ方だったりを考え、売れる仕組みを作る。それだけだと実績が伴わないのでプロの営業マンを提供してくれる会社と組んで、営業をやる。実際に売れた際の売り文句まで提供すると営業部も動かざるを得ない。このように、社内だけでは動かないことを、外部を使って力技で前に進めて行くことも重要だと思う。

Q.大企業の新規事業担当者は最初、面白そうなサービスや技術であれば容易に話を聞いてくれるがそこからなかなか話が進まない。組める担当者を見極めるポイントは?
A.話を進めるためにはお金と決裁権が必要だが、それらを動かすには企業の経営方針や重点施策などに合っていることが重要。また、毎回の打ち合わせで人が増えているかどうか、偉い人が出席しているかどうか、というように担当者が周りを巻き込んでいることを見極めるのもポイント。大企業をプッシュ(提案型)で動かすのは非常に難しいので、なるべく既存の流れにうまく乗るように立て付けることが大事だと思う。